「子犬のしつけのやり方や基本を知りたい」「犬のしつけをしたいけど自分にできるのかな?」と気になっている方へ。
犬のしつけは基本の考え方が理解できていて、個々のしつけのやり方を覚えれば、初心者・飼育経験者を問わず誰でもできます。
しつけは個々のテクニックよりも基本の犬との接し方を学び、犬との生活習慣を整えることが重要です。「簡単にできる・1日で改善」など即効性をうたうテクニックばかり参考にしていてもしつけは成功しません。
また、犬のしつけの考え方や方法は時代によってアップグレードされています。古い考え方にとらわれず、新しい技術や考え方も取り入れて効率よくしつけをする柔軟性も大事です。
そこでこの記事では、しつけを成功させるためにかならず知っておきたい基本的な考え方を詳しく解説します。今からしつけを始めようとしている方は、ぜひ参考にしてください。
1.【犬は飼い主の鏡】犬飼育は飼い主の生活態度と気持ちが重要
- 犬よりも自分のしつけをする
- 言葉よりも態度で示す
- 飼い主が主体性を持って犬を導く
私が長年犬を飼っていて犬の飼育やしつけでいちばん大事にしていることは、自分(飼い主)のしつけをしっかりすることです。
自分がしっかりしていないのに、犬にしっかりした行動をさせられますか?無理ですよね。自分が規律正しく生活できていてこそ、犬にも規律やルールを教えられます。
完璧な人間なんていないので、できる範囲で大丈夫です。私もどちらかというと自分に甘い人間で、面倒くさがりなため妥協しがちです。
それでも愛犬が尊敬して頼りにしてくれる飼い主になることがいちばん大事なことだと思って、自分を律しながら毎日犬と暮らしています。
言葉が通じない相手だからこそ、常に態度で示していくことも必要です。正しい愛情をわかる形で注がれて育てられた犬は、飼い主の努力や心の機微をよく分かってくれていると感じます。
犬は飼い主次第で良くも悪くも大きく変わります。主体性がなく自分に甘い人が飼い主だと、犬の行動も乱れがち。
犬は飼い主の鏡です。私の経験上、マナーの良い犬は飼い主さんがマナー正しく好感が持てる人なことが多いです。
2.【しつけのテクニックよりも大事】基本の知識を学び環境を整える
しつけは人間の都合のいいように犬をコントロールする方法ではありません。犬に人間との共同生活のやり方を教えることです。
そのためテクニックよりも、犬と心地よく生活できる生活環境を提供することを重視します。さらに犬と人との距離感を適切に保つスキルを飼い主自身が身につけます。
2-1.飼い主が犬について正しい知識を身につけること
あなたは犬のことについてどのくらい勉強しましたか?しつけについての書籍や動画をいくつ見ましたか?
犬のことはなんとなく「こんなものかな?」と思っている程度なら、確実に勉強不足です。犬のことがよく分かっていないと、犬の行動原理が分からず適切に犬を導くことができません。
例えば、犬が吠えて困っているとき。
- なぜ吠えるのか
- 環境を整えて様子を見るか
- 成長して収まるのを待つべきか
- 早い段階でしつけしてやめさせるか
犬のことを勉強していれば犬の困った行動にも対処が簡単です。犬種特性や性格などを考慮して、たくさんあるしつけ方法の中から適切なしつけを選べます。
愛犬にはどんな対処法が向いているのか判断でき、犬の特性に基づいた対処がきちんとできれば問題行動になりません。
2-2.小手先のテクニックよりも犬との関係性を良好に保つことが重要
犬は人を見て態度を変えます。どんなに小さな子犬でも、言うことを聞くべき人か、ワガママを通せる人か見極めています。
愛犬に「この人の言うことは聞かなくていいや」と思われてしまったら、どんなに効果のあるしつけ法を実践しても意味がありません。
よく「トレーナーさんの指示には何でも従うのに、私の言うことは聞かない!」という飼い主さんがいます。それは愛犬が「飼い主の指示は聞く必要がない」と思っているからです。
しつけは愛犬との正しい関係性を作ることが第一歩。「この人の言うことはちゃんと聞こう」と思ってもらえる飼い主になることがしつけの基本です。
犬と飼い主の関係づくりを重視したしつけ教材もあります。非常に勉強になり、しつけの実践も可能です。
【犬のしつけ教材】イヌバーシティ公式サイト
2-3.環境を整えるだけでしつけの手間が省ける場合もある
指示するだけがしつけではありません。犬が「やらざるを得ない状況」を作ってしまうことで、しつけをしなくても自然に行動ができてしまうことがあります。
問題行動をやめさせるときも一緒。「どうやってもできない状況」にしてしまえば、犬も問題行動のとりようがありません。
例えば、おもちゃを取り上げると唸ったり取られまいとして隠したりする行動。これはおもちゃが常に犬の自由になる状況で起こります。
おもちゃは飼い主と遊ぶときだけ用意し、遊び終わったら飼い主がすぐに犬に見えない場所に片付ける。これだけでおもちゃを守ろうとする行為はなくなります。
犬がおもちゃを自由にできる状況で、いくら飼い主が唸るのやおもちゃを隠す行為を叱っても無意味です。しつけでコントロールするのは得策ではありません。
2-4.子犬期のしつけに時間と手間とお金を十分にかけるとその後の生活は段違いに楽
犬の学習意欲が最も高い時期は、生後1歳半くらいまでです。この頃に覚えたことは、良いことも悪いことも終生残っていきます。
とくに性的な成熟を迎える生後8ヶ月より前までは、犬の性格形成の重要な時期です。このときまでに子犬の性格を良くするように導けると、その後のしつけや生活がとても楽になります。
あとが楽になるのは経験済みなので、私は子犬を迎えてから半年くらいの間は、多少無理をしてでも子犬に手間と時間をかけるようにしています。
自分の都合がつかず無理そうなときや楽をしたいときは、有料のサービスも積極的に利用しますよ。良いサービスは、やっぱりいいですよね!(高いけど)
私の周りを見てもしつけの重要性を理解している飼い主ほど、パピークラスや犬の保育園を積極的に利用している印象です。
2-5.完璧でなくてもいいと割り切る
警察犬や盲導犬などの訓練や、訓練競技への参加をするなら完璧が求められます。しかし、普通の家庭犬のしつけであれば、多少はできないところがあっても問題はありません。
- 周囲に迷惑をかけない
- 自分や家族がストレスを受けない
この2点がクリアできていれば、日常生活で問題になることはありません。
あまり犬や自分に厳しくしてしまうと息切れして続かなくなります。問題を感じなければ深刻に考えずに、そこそこの出来で良しとすることも大切な考え方です。
3.簡単なしつけと難しいしつけの違いを知ろう
よく「しつけに難易度ってあるんですか?難しいしつけってどんなものですか?」と聞かれます。しつけは難易度に差がありますよ!知っておくと便利です。
3-1.「やらせる」ことは簡単
「オスワリ」や「持ってきて」など、「やらせる」しつけは難易度が低いしつけに分類されます。
- オスワリ
- アイコンタクト
- ハンドトレーニング
- フセ
- 持ってきて
- 出して
やらせるしつけは緊急性も低く、うまくできなかったとしても問題行動に発展することがありません。そのため気長にできるのも難易度が低いとされる理由です。
3-2.「やめさせる」のは難しい
逆に難しいのが「やめさせる」しつけです。すでに繰り返し「やる」習慣がついてしまっているため、やめさせるには忍耐と継続が必要です。
- 無駄吠えをやめさせる
- 拾い食いをやめさせる
- 飛びつくのをやめさせる
多くの飼い主の頭を悩ませ、結局は妥協してそのままになりがちなしつけです。やめさせるのは難しいため、やらせるしつけにすり替えてコントロールすることもあります。
例)吠える状況になったら難易度の低い「オスワリ」や「フセ」をさせて、間接的に吠えなくさせる
ほとんどの場合で完全になくすことができず、周囲に迷惑にならなければ多少は残ってもいいと考えます。
3-3.失敗したしつけをやり直すのはすごく難しい
失敗したしつけをやりなおすしつけ直しは難易度が高いです。また、しつけをせずに飼育して、成犬になってからしつけを始める場合も難易度は高くなります。
- トイレの覚えなおし
- 引っ張りグセ
- 成犬のしつけ
トイレトレーニングが上手くいかず、あちこちにするようになってしまった場合。しつけをやり直すのは通常のトイレトレーニングよりも難易度が高くなります。
散歩時の引っ張りグセも酷くなってしまうと、通常のリーダーウォークのしつけより大変です。チョークチェーンや矯正リードなどを使ってしつける必要が出る場合も出てきます。
3-4.【性格や賢さの違い】犬の個性によってしつけの難易度に差がある
興奮しやすい性格の犬や、ぐうたらでやる気のない犬が相手だと、簡単なしつけでも教えるのは大変です。
- 興奮しやすい
- 独立心が強い
- 頑固な性格
- 意欲が低い
- 賢すぎる
- 和犬
犬の性格や犬種によって同じしつけでも難易度が変わり、しつけしにくい犬種や初心者向けでない犬種としてあげられることもあります。
現在日本で主流のしつけ方法は欧米のしつけ法を基準にしているため、和犬は馴染みにくく一部のしつけでは難易度が高くなりがちです。
意外なところでは「賢い」ことがしつけの難易度をあげていることも。賢い犬種として有名なプードルやボーダーコリーのしつけに苦労している飼い主さんも多いです。
4. 初心者は必ず有資格者(プロ)のサポートを受けよう!
しつけは正しいやり方さえ覚えてしまえば飼い主だけでできます。しかし、愛犬との相性や性格で、上手くいかずに困るシーンも多々あります。
失敗したくない人や初心者は、必ずプロのサポートを受けましょう。
4-1.頼りになるのはやっぱりプロの経験と技術
ドッグトレーナーは、年間何十頭というしつけを行っているプロです。専門の学校で犬の飼育方法やしつけを学び、経験も技術も一般の飼い主とは段違いです。
しつけに困ったときや飼育方法に悩んだときは、プロに相談することで意外とすんなり解決することがあります。
私も今回は初のテリア犬種ということで、今までの犬たちとちょっと違うクセ(吠えグセや警戒心など)に悩まされました。相談したら一発で解決、以降は問題も起きていません。
犬を飼うのが初めてなら、専門知識のあるアドバイザーがいれば心強いこと間違いなしです。
4-2.最近はオンラインでもしつけ相談ができる
しつけ教室に通いたくても近くに良い教室がない、忙しい、勤務時間帯がバラバラで定期的に通うのが難しいとお悩みの方。そんな場合は、オンラインしつけ教室を利用するのもおすすめです。
しつけや飼い方の相談もオンラインでOK。愛犬の困った行動を動画として送れば、問題点を指摘して解決策を教えてくれます。
オンラインのしつけ教材もあり、コンテンツでしつけについて学習しながら実践することも可能です。学習者専用の質問コーナーやセミナーもあるので、忙しくても効率よくしつけができます。
有名なものは「イヌバーシティ」です。2023年10月にリニューアルして、訓練士や獣医への質問や、会員同士の交流が活発にできるようになりました。挫折しがちな難易度の高いしつけも励ましあって頑張れます。
4-3.【意外と知られていない】しつけ教室は子犬購入の相談にも乗ってくれる
しつけ教室やトリミングサロンは、すでに犬を飼っている人が利用しているイメージですよね。
しかし、犬をこれから飼いたい人や、どんな子犬が自分に向いているのか専門家に意見を聞きたい人が利用してもいいです。
一部のしつけ教室やトリミングサロンでは、家庭環境や飼い主の性格や希望を聞いてどんな犬が向いているのかおすすめの犬種を教えてくれます。
しつけ教室では子犬を迎える準備からしつけ、普段の生活までトータルに相談できます。犬を飼う前に一度でも犬業界の人の意見を聞いておくと、子犬選びや子犬育ての失敗を回避できます。
5.しつけ成功のコツ5か条
しつけを成功させるためには、以下の5つのコツを抑えておけばOKです。
5-1.【準備で決まる】子犬を迎えると決めた日からしつけは始まっている
よく「犬のしつけは子犬を迎えた日から」なんていわれていますが、子犬を迎えてからしつけの準備をしていたら遅いです。犬を飼おうと決めたその日から、しつけは始まっています。
- 家庭環境にあった犬選び
- 犬の飼い方やしつけ方法の座学
- しつけ教室の下見や見積もり相談
- 飼育スペースや時間の確保
- 犬の購入・飼育費用の確保
犬を飼うと決めて一番にやらなければいけないことは犬選びです。地域の環境や家族構成などで、飼いたい犬種が向いていない場合があります。
生活環境にあっていない犬種にしてしまうと、飼った時点でしつけの失敗が確定することもあり、注意が必要です。
犬を飼い始める場合は、お金も時間も知識も飼育スペースもすべてを抜かりなく準備して、子犬が来るのを待ち構えるのが理想です。
5-2.【犬のせいにしない】飼い主次第で犬は変わる
しつけが上手くいかない人のNo.1口癖が「犬が言うことを聞いてくれない」です。この考え方でいると、100%しつけはうまくいきません。
犬が言うことを聞くのではなく、あなたが犬に言うことを聞かせるのがしつけです。主体は飼い主にあります。
実際にしつけが上手くいっていない犬をトレーナーさんに預けると、驚くほど聞き分けが良くなることは日常茶飯事。犬の問題の多くは単純に飼い主のしつけ技術やマインドが足りないのです。
飼い主が正しい知識と技術を身につけて真剣に犬に向き合えば、時間がかかっても犬にちゃんと通じます。まずは飼い主が甘えを捨てて変わりましょう。
5-3.【一致団結】家族全員でしつけや世話をする
家庭内の不和は犬を不安定にさせます。犬を飼うなら家族みんなで犬を世話できる環境を作りましょう。
メインで世話をする人を1人決め、周りがフォローしていく体制が多いです。散歩や遊び、しつけも家族みんなでやります。
決して誰か1人にすべてを押し付けて、ほかの家族は知らん顔ということがないようにしましょう。家族全員が犬の飼い主という自覚を持てるとベストです。
5-4.【適期がある】成長ステージに合わせてしつけをしていく
しつけは犬の成長に合わせて段階を踏んでするのが普通です。あとで一気にやることは基本できません。
適切な時期にやれば簡単にできることも、時期を逃してしまうと嫌がったり覚えるのに時間がかかるなど、しつけが上手くいかない原因になります。
しつけをおこなう子犬期~若犬期は、本当にあっという間です。適期にきちんと必要なしつけができるように、計画的に行動しましょう。
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5-5.【お金をケチるな】余裕を持って費用を準備しておく
子犬を迎えるときはしつけの費用も必ず用意しておき、問題が起こる前にしつけ教室に通いましょう。しつけに失敗する人の多くが、しつけ費用を出し惜しみします。
「子犬の購入にお金がかかった」「しつけ教室の料金が高すぎる」といって、犬に問題行動が出ていても相談せずにこじらせてしまうことも。
わずかな費用をケチったばかりに、しなくていい苦労や無駄なストレスを抱えることになります。しつけ費用はあらかじめ予算に入れておきましょう。
6.適切なしつけをしたいなら「イヌバーシティ」がおすすめ
しつけは基本的な考え方を理解した上で、適切な時期に正しい方法でおこなうことが鉄則です。
- 犬についての知識を身につける
- 必要なしつけを適期におこなう
- 初心者はプロのフォローが必要
自分勝手な思い込みや半端な知識でしつけをすると痛い目にあいます。しつけの手間や費用を出し惜しみするのは論外です。
しつけや犬のことをしっかりと学んで実践するために、犬のしつけ教材があります。「イヌバーシティ」が有名で、ラファもこの教材を使ってしつけをしました。
この教材を使えば、自宅で基本のしつけをやり切ることも可能です。近くにしつけ教室がないか方やしつけ教室に通う時間が取れない方にもおすすめです。