あなたは犬の「しつけ」と「訓練」と「芸」の違いをちゃんと答えられますか?
以外に難しいですよね。混同してしまっている人も多く、しつけをしているつもりで芸を教えていたというのは「ドッグオーナー初心者あるある」です。
代表的なのは「おすわり」と「お手」。「おすわり」はしつけで「お手」は芸なんです。
しつけと訓練と芸は教える目的が全く違っていて、犬に対するアプローチも違ってきます。
私たち飼い主がこの違いをしっかり理解していないと、愛犬との接し方を間違えてしまうことも!
この記事では、混同されがちなしつけと訓練と芸の違いについて解説します。
しつけと訓練と芸の違い
簡単に説明すると以下の通りになります。
しつけ:人間社会で暮らしていくルールを教える
訓練:人と一緒に仕事するためのスキルを習得させる
芸:飼い主と共同でやる遊び
しつけは人と暮らしている犬が絶対に身につけていないといけないものです。
できていなと「あの家は犬のしつけもしないで・・・迷惑よね」とご近所様に後ろ指をさされます。
トリミングサロンや動物病院でも、厄介者扱いされてしまうこともあります。
訓練は誰でもパッと思いつくものは盲導犬や警察犬の訓練です。
人の役に立つために、専門的な訓練をします。
ほかにも猟犬や牧羊犬は今でも活躍していますね。
彼らに獲物を追うことや家畜を集めるのを教えることも訓練に当たります。
芸は訓練と違い、遊びやスポーツになります。
仕事をしなくなって暇になった家庭犬に頭と体を使わせて健康維持をしたり、飼い主とのコミュニケーションを深める目的があります。
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しつけは必須、訓練は不要、芸はお好みで習得

しつけは必須
しつけは犬に人(飼い主)と生活する基準になるルールを教えることです。犬がトラブルなく人と暮らすためには絶対に必要です。
そのためには犬の本能を曲げることも必要になってきます。それをかわいそうという意見もありますが、犬が本能ままに暮らしていたら
人でも子供の頃にきちんとした生活習慣や公共マナーを教えられたほうが、その後の人生の自由度が高くなりますよね。
犬も同じです。しつけが大変だから、厳しくするとかわいそうというだからと適当に済ませてしまうと、結果的に犬(と飼い主)の幸福度が下がります。
大変でもしっかりしつけをしておいて、マナーの良い犬にしておくことが、愛犬の幸福につながります。
芸はおたのしみ程度でいい
芸は教えても教えなくてもどちらでも構いません。やるなら犬と一緒に楽しむことを目的にしましょう。
うまくできれば楽しいし、SNSに可愛い芸の動画をアップしてバズれば嬉しいこと間違いなしです。
飼い主の自己満足で芸をやらされて可愛そうという人がたまにいますが、見当違いの意見です。
犬は飼い主と一緒に楽しんでやっていますし、褒められる機会も増えて犬も幸せです。
ドッグスポーツも芸の仲間です。スポーツとしてやるときは「技・トリック」と名前が変わります。
芸は楽しむだけでなく、飼い主との信頼関係やコミュニケーションを強める効果もあります。
また、運動不足やストレス解消の手段にもなりますから、得意の芸を1~3個教えておくのもおすすめです。
訓練は家庭犬ではやらない
訓練は職業犬を育てない限り不要です。
そもそも一般の飼い主に犬の「訓練」が出来る知識や技術はないですよね。
訓練を応用したしつけや芸はあるので、そちらをやりましょう。
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しつけにも応用される「訓練」、でも内容は雲泥の差
しつけや芸の中には訓練由来のものも多いです。
そのため厳しい職業犬訓練のイメージを引きずってしまい、「しつけ=厳しくて辛いもの」という考えの方もいらっしゃいます。
しかし、家庭犬のしつけとして行われているものは、訓練でも基礎の部分のみです。
しかも実際の訓練よりずっと度合いがゆるいんです。
例えば「脚側行進」は、訓練であればハンドラー(犬を扱う人)に常に注目していなければなりません。
気がそれたと判断されると即座に叱られます。
位置も左足の横にピッタリつき(離れてはダメ)、前足がハンドラーの体(つま先)より前に出ることは禁止です。
散歩で常にこの状態で歩かせる必要があるでしょうか?ないですよね。
ですからしつけの脚側行進は、最初にヒールポジションを教えるものの、歩いている最中にちょっとよそ見したり前に出たくらいで厳しく引き戻されることはありません。
リードがたるんだ状態ならば問題ないとされます。こんなに違うんですね。
そのほかも訓練よりずっと基準が下げられていて、飼い主がしつけを負担に感じないように工夫されています。
芸にも訓練由来のものがあります。「モッテコイ(物品持来)」です。
これも訓練だと指定されたものを100%持ってこなければなりません。
芸ならまあ、途中で捨ててこられたら飼い主が取りに行くだけです。
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まとめ
しつけと訓練と芸の違いを正しく知ることで、自分と愛犬に必要な生活のルールづくりやトレーニングの目標がたてられます。
また、しつけだと思って芸を教えてしまったり、必要のない訓練をしてしまったりといったことも防ぐことができます。
中には訓練としつけの中間ぐらいのものや、芸なのか訓練なのか微妙なものもあります。ですが、分類にこだわる必要はありません。
あくまで目的に応じた便宜上のものくらいに思っていてもOKです。
しつけも芸も挑戦する楽しさとできた喜びを分かち合いながら、愛犬と楽しんでくださいね。