「子犬のしつけって何をどんなふうにやればいいの?」「いつから始めていつまでに終わらせればいいの?」と悩んでいませんか?
子犬を飼って一番悩むのがしつけのやり方と始めどきです。しつけは失敗してしまうと犬も人も幸福度がすごく下がるので、過不足なくしっかりやりたいですよね。
しかし、しつけは種類もやり方もたくさんあります。飼い主や訓練士の考え方によって言うこともまちまちで、初心者はさまざまな意見に振り回されてよくわからなくなってしまうこともしばしば。
そこでこの記事では、子犬のしつけについて私が実践したものとしなかったもの、実際にやってみて感じた難易度をお伝えします。
さらに子犬の成長ステージごとのしつけと、しつけ期間が終わったあとのことについても解説しています。これからしつけを頑張ろうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。
1.【実体験】ラファにやったしつけ・やらなかったしつけ
ラファは、ペットショップで生後120日頃に購入し、我が家に来ています。家庭犬の標準的な飼育開始は90日齢なので、1ヶ月程度しつけのスタートが遅かったです。
ペットショップにいた犬なので社会化はまったくできておらず、パピー向けの社会化トレーニングからスタートしました。仕事が忙しかったので、社会化トレーニングは地元のしつけ教室に丸投げ。
自宅ではスキマ時間にできる基本のしつけと、遊び・散歩の練習、ブラッシングや歯磨き練習、トイレトレーニングをしました。4ヶ月間でパピー期のしつけをすべてやりきりました。
生後8ヶ月でパピートレーニングを完了して、3ヶ月間イヌバーシティを利用した基礎トレーニングをしてしつけを入れるのは終了。しつけは1歳前に基礎が完了した形です。
その後は様子をみながら、しつけの維持と追加でちょっとした芸などを教えました。トータルで2歳くらいまでかかってすべてを教えています。
3歳になった現在は、しつけが崩れないように維持することが中心です。
やらなかったしつけももちろんあります。
- クリッカートレーニング
- プレイス
クリッカートレーニングは、飼い主がズボラでクリッカーを持ち歩かないので、今までやったことはありません。一般的なしつけというよりは、芸やドッグスポーツなど高度なことをやるために使うイメージです。
プレイスは、最初は教えたものの結局「マテ」に統一。ソファやベッドのほうが快適なのでドッグコットではなくそちらで待たせています。
2.子犬のしつけ方法
子犬のしつけといっても、生後6ヶ月までのパピー期と、成犬に近づく生後6ヶ月以降の若犬期では、しつけの内容や目指すことが違います。
2-1.【遊びの延長で楽しく】パピー期のしつけは生活の中で覚えさせる
生後6ヶ月未満の子犬に教えることはたくさんあります。しかし、特別に時間をとって教えるしつけはごくわずかです。
パピー期のしつけの多くは、子犬と遊ぶときやご飯のときにルールを教え、生活のマナーを身に着けさせるものです。気合を入れて意気込んでやる必要も、厳しくすることもありません。
この期間は一般の人がイメージするしつけをおこなうことはほぼありません。また、思ったとおりにできなくても成長を待ちながら様子を見ることもあります。
- 生活や遊びの中で教える
- 子犬に家庭内や社会での立ち位置を教える
- 叱ったり怒ったり厳しくしたりはNG
- 飼い主が楽しく誘導する
生活の中で子犬を育てながら、さまざまなシーンで正しい(望ましい)行動を取るように飼い主が導いていきます。
2-2.【生後6ヶ月以降は本格的に】成長とともに内容を高度にしていく
子犬も生後6ヶ月以降になると、判断力や理解力も上がって「指示に従う」「ダメと言われたことはやってはいけない」といったことがはっきりわかるようになります。
高度な指示もわかるようになるので、難しいしつけや芸・技にもチャレンジできますよ。
また、飼い主との力関係も理解するようになるので、飼い主は舐められないように注意します。良い関係を維持できるように、普段の生活の中で飼い主に従うことを教えます。
「ダメ・イケナイ」を教える、我慢することを教えるのはこの頃から。「行動抑制のマテ」や「プレイス」など落ち着きや忍耐を要求されるしつけもやりやすくなります。
まだ子犬だからと大目にみていたワガママも、この頃からはやめさせるようにしていきます。我慢を教えるしつけと並行してやれば、抑制効果も高いです。
2-3.【心配ならプロに相談】失敗を放置しないことが最も重要・問題行動になる前に対応しよう
しつけで重要なことは失敗を放置しないことです。子犬には個性があり、すべてのしつけがセオリー通りに行くことはありません。
むしろ思ったとおりにいかず、悩むことのほうが多いでしょう。性格によってすんなりできるものと、なにをどうやっても上手くいかないものとが出てきます。
このときに「まあいいか」と問題を放置するのは危険です。しつけは失敗して問題行動になってしまうと行動矯正が必要になり、難易度が上がってしまいます。
しつけが上手くいかなかったら専門家に相談するのが一番です。上手くできるかどうか心配な場合は、最初からしつけ教室を利用しましょう。
2-4.【必要なものだけ厳選】無理に全部やらなくてもいい・時期がズレてもOK
しつけにはすぐできる簡単なものから、高難易度のものまでたくさんあります。同じしつけでも、飼い主の希望によって求める完成度が違うことも。
すべてのしつけを完璧にやろうとするのは時間と労力の無駄です。愛犬の性格とあなたのライフスタイルに合わせて、必要なしつけだけをチョイスしましょう。
しつけの適期についても、子犬のうちであればそれほど神経質にならなくても大丈夫。できるものから積極的にやっていきましょう。
【関連記事】犬のしつけを始める前に考えたいこと|どんなドッグライフにしたい?
2-5.【生活の中で維持】しつけは生活習慣にして生涯続けるもの
しつけはできるようになったら終わりではありません。しつけ完了後も生活の中で繰り返し使って忘れないように維持します。
子犬が覚えたことで満足してその後の維持を怠ると、しつけがどんどん崩れていって2〜4歳ごろに問題が出て、しつけ直しが必要になったりします。
だんだんしつけた内容が実行できなくなっていき、飼い主に反抗してくることも飼い主あるあるです。
- 覚えたことは生活の中で繰り返し使って定着させる
- 飼い主との関係性の維持も大切に
- 当たり前にできるようになっても褒める
- 生活の中で使わないものは忘れてしまってもいい
覚えさせたけれど使わないしつけの内容は、忘れてしまってもOKです。その代わりに必要なものだけは可能な限りいい状態を維持していきます。
3. 子犬が来た日からおこなうしつけ(生後6ヶ月まで)
子犬を迎えたその日から実行が可能なしつけです。基本の10種類のしつけをリストアップしてあります。
子犬が家に慣れてきたらどんどん始めていきましょう。習得の順番はとくにないため、できるものからやってください。
おおよその難易度で分けてありますので、簡単なものから始めることも可能です。
3-1.ネーミング・アイコンタクト
3-2.遊び方を教える(出して・おしまい・持ってきてなど)
3-4.ハンドトレーニング
3-6.【散歩の練習】首輪やリードに慣れる
3-10.クレートで寝られるようにする
簡単・すぐできるにあげたものは、環境を整えるだけで良かったり、遊び感覚でできるものです。
3-3.トイレトレーニング
3-5.ホールドスチール・タッチング
3-7.フォローミー(ついてきて)
3-8.スワレ
3-9.ご飯・おやつのマテ
ちょっとコツがいる・時間がかかるものは、飼い主の慣れが必要だったり、子犬の性格によって習得に時間がかかるものです。
3-1.ネーミング・アイコンタクト
子犬に自分の名前を覚えさせるのがネーミング。名前を呼んだときや遊ぶときなどに飼い主の目を見て注意を向けられるようにするのがアイコンタクトです。
やり方はとっても簡単。子犬を迎えたその日から、相手が無反応でも名前を呼んで、目を合わせて笑顔を見せるようにします。
遊ぶときやご飯のとき、トイレに連れて行くときなど、事あるごとに名前を呼んで目を合わせて笑顔で褒めちぎります。
名前を呼ばれる・飼い主と目が合うたびに褒められて、遊びやご飯が来るとわかると、子犬は自分の名前と飼い主が大好きになります。
3-2.遊び方を教える(出して・おしまい・持ってきてなど)
子犬に人と遊ぶ楽しさを教えながら、同時に「出して(アウト)」や持ってきてなどを教えます。
子犬は可能な限りひとり遊びをさせず、いつも飼い主と遊ぶようにします。楽しいことは飼い主と一緒にやる習慣を持つと、トレーニングにも積極的になります。
具体的な遊び方は下記の記事で紹介していますので、参考にしてください。
【関連記事】「引っ張りっこ」で犬と遊ぼう! 絆を深めてストレスを解消する遊び方
3-3.トイレトレーニング
指定の場所でトイレができるようにするしつけです。排泄の回数が多い子犬のうちから毎日練習します。
しつけ方法の詳細は以下の記事で説明していますので、参考にしてください。
上手くいかない人必見!【犬のトイレトレーニング】失敗の原因としつけ方ご紹介
3-4.ハンドトレーニング
飼い主の手についてくるようにするしつけです。誘導が必要なしつけをやるための準備になります。
子犬が飼い主の手に興味を持ってついてくることができればOKです。
3-5.ホールドスチール・タッチング
ホールドスチールは、犬が拘束されても抵抗しないようにするしつけです。従順さを育てる目的のしつけで、反抗心の低い子犬のうちからやっておくとスムーズにできます。
タッチングは耳・マズル・足先などの犬が嫌がる場所に触れるように慣らすものです。日々のお手入れの練習としてもおこないます。
ホールドスチール・タッチングをしっかりやっておくと、動物病院やトリミングサロンで診察や施術を受けるために拘束されても落ち着いていられるため、マスターしたいしつけです。
3-6.【散歩の練習】首輪やリードに慣れる
多くの子犬ははじめのうちは首輪(カラー)やリードを嫌がります。(中には全く気にしない犬もいますが少数派)
そのため普段から首輪(カラー)を付けて慣れさせます。また、家でリードを付けた状態で遊びをするなどして、散歩に行けるように準備をします。
3-7.フォローミー(ついてきて)
「飼い主について行くと良いことがある」と教えるしつけで、散歩の練習にも使います。
おもちゃなどを子犬にちらつかせて注意を引きながら飼い主が動き回り、飼い主の後を子犬についてこさせます。ある程度ついてきたらおもちゃで遊んだり、おやつをあげましょう。
このときに足やパンツの裾を噛まれることがあります。人間の足をおもちゃにしないようにする練習でもあるため、噛まれたら止まり、噛まなくなったらまた動き回ることを繰り返します。
リードや首輪などの犬具をつけた状態でおこなうと散歩の練習になります。
3-8.スワレ(おすわり)
興奮を鎮める、吠え・飛びつき防止、マテを教えるためにスワレを教えます。興奮しやすい子犬に教えるのは少し大変ですが、根気強く教えましょう。
最終的には、特定の状況では指示しなくても座って落ち着いていられる状態にします。
3-9.ご飯・おやつのマテ
ご飯やおやつの準備をしているときに大人しく待っていられる、ご飯やおやつを持っている人に飛びつかないようにするためのしつけです。
ご飯やおやつのときに所定の場所や飼い主の前で座って待てるようにするため、スワレ(おすわり)を覚えてからスタートします。
ご飯を置いてから待たせるのは「オアズケ」であって、マテではありません。勘違いしている人が多いので間違えないでください。
今はオアズケはやらないほうが良いとされているため、ご飯やおやつは準備ができるまで「マテ」をさせ、準備ができたらすぐに食べさせてあげましょう。
3-10.クレートで寝られるようにする
パピー期から寝床をクレートにしておくと、将来的にクレートに入ることを嫌がらない犬に育ちます。
とくに何かすることはなく、寝やすいようにクッションやマットを敷いたクレートを用意するだけです。お留守番がある犬の場合は、サークルにトイレとクレートを設置します。
いつでも自由に出入りできるように、入り口が取り外せるクレートを準備するのがおすすめです。
4.子犬の社会化も忘れずに!
しつけとは別に「社会化」というものがあります。これは子犬を人間社会の環境に慣れさせて、コミュニケーション能力を高める目的があります。
社会化がしっかりできていると、ストレスに強くおおらかな性格になりやすいです。また、コミュニケーションが取りやすい犬に育つので、その後のしつけも楽になります。
具体的にどんなことをするのか次の記事で紹介していますので、参考にしてください。
犬の社会化って何だろう? 子犬の問題行動を防止するためのしつけを解説
4.ある程度成長してからおこなうしつけ(生後半年から1歳半)
パピー期のしつけがある程度できるようになったら追加していきたいしつけです。
集中力や忍耐力がいるものもあるため、ある程度(5~10分程度)トレーニング時間をとって集中して行いましょう。
この項目のしつけは初心者にとっては独力だと難しいかもしれません。無理だと思ったら早めにしつけ教室を頼りましょう。
4-1.フセ
スワレからお腹を床に付けた状態に持っていきます。伏せた状態でマテをさせたり、落ち着いて待機できるようにする姿勢です。
いつでもフセが落ち着いてできるようになると、子犬期は卒業という目安にもなります。
4-2.行動抑制のマテ
公共の場所で落ち着いてじっとしていられるように、静かに待たせるしつけです。
待つ体制は、「スワレ」「フセ」のいずれかの状態で、立たせたまま待たせることはしません。まずは「スワレ」や「フセ」を教えるので、しつけの後半で教えることが多いです。
マテの時間は家庭犬なら1〜10分程度を目安にします。犬の忍耐力を鍛える目的で長時間のマテをさせる必要はありません。
日常生活では、長時間待たなければいけないときは「マテ」ではなくクレートなどに入れて休ませてあげましょう。
ちなみに私には忍耐力がないので、我が家の犬達は自宅トレーニングでは5分程度しかマテをしません。犬より先に飼い主が飽きるダメパターン。
おやつ・食事のマテとは別物です。食事前に長々と「マテ」をさせるのは絶対にやめてくださいね。
4-3.オイデ(コイ・呼び込み)
オイデの指示で必ず飼い主のもとに戻って来るようにするしつけです。リードが手から離れてしまったときにオイデができると事故を防げるので、絶対に教えたいしつけです。
ドッグランで遊ぶなら必須のしつけです。オイデができないと犬を離したら捕まえられなくなります。
ところがこのしつけ、好奇心が強くあちこちにフラフラいってしまう性格の犬に教えるのは本当に難しい!
また今まで見てきて、どんな状況でも必ず呼び戻せる飼い主さんは少数な気がします。難しいしつけですが、おたがい頑張りましょう。
4-4.プレイス・マット
指定の場所で待っていられるようにするしつけです。来客時に落ち着きがない、チャイムに吠えるときにプレイスを利用することで、静かに待機させることができます。
しつけのためには、ドッグコットや犬用のオープン型のベッドや厚手のマットを準備します。家庭内にはっきり「ここが待機場所」とわかるスペースを作る必要があります。
4-5.拾い食い防止・飛びつき防止・吠え抑制など我慢を教える(ダメを教える)
パピー期にはある程度好奇心を満たすことを優先して見逃していた行動も、好ましくないものは抑制していくようにします。
ダメや止まれも教えます。パピー期と違って我慢ができるようになり、警戒心が芽生えて慎重な行動を取るようになるので、しっかり教えましょう。
成犬まで好ましくない行動を残すと、しつけだけでは直しづらくなります。我慢を教えるのは若犬期の大切なしつけです。
4-6.ツケ(ヒール)
飼い主の脚の横(通例左脚横:ヒールポジションという)に付くためのしつけです。脚側行進の前段階や、呼び込みした後の定位置として教えます。
そのため散歩の開始の合図として使ったり、オイデ(呼び込み)からヒールポジションにつけることが多いです。
4-7.脚側行進(リーダーウォーク)
パピー期は、散歩の楽しさや外の世界に何があるのか知ることを優先させるため、ある程度自由に歩かせます。しかし、成長してきたら飼い主と呼吸を合わせて歩くことを教えます。
通常は飼い主の左脚のすぐ横を歩くように練習します。散歩ならそんなにピタッと付いていなくてもいいのでは?といわれますが、脚という目印があったほうが犬がきちんとついて来やすいです。
引っ張りグセがあると散歩に行くのが苦痛になります。飼い主より犬が前に出ると事故の恐れがあるので、飼い主の横や後ろについて歩けるようにしましょう。
5.しつけを効率的にやりたいときは「イヌバーシティ」がおすすめ
子犬のしつけは、限られた時期にたくさん教えることがあり、犬の飼育に慣れていない場合は大変です。また、しつけ以外にブラッシングや歯磨き、爪切りなどのお手入れも習得しなければなりません。
効率よく子犬のしつけをすすめていきたい方や、やらなければいけないことが多すぎて困る方は「イヌバーシティ」の利用が向いています。
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